店舗契約の不動産知識(用語解説編)

事業を始めるときに最初に必要なのは場所です。

借りる、買う、自分の物件で始める、いずれにしても不動産や建築の知識がないとできません。
今回は店舗を出すまでに必要な不動産、設備、建築の知識として用語の解説をします。

順番は思いついた順です。また記事は後から思いついたものもどんどん追記していきます。

【仲介・媒介】ちゅうかい・ばいかい
不動産業者に店舗を探してもらう契約をすることを「媒介契約」と呼びます。仲介という言い方もします。
不動産屋は基本的には媒介契約をしないと動けません。
ただ賃貸の場合は、若干甘く、先に物件案内をして、気に入った物件があれば申込書兼媒介契約書に記入するという形が多いです。
売買の場合はこの媒介契約にも3種類あって、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の種類があります。
一般の場合は、依頼する業者を1社に限定することなく何社にも頼めます。
専任の場合は依頼する業者が1社のみ、ただし自己発見は業者を通さなくて契約できます。
専属専任は専任の場合と同じですが自己発見の場合でもその業者を通して契約するという形になります。
一般的には専任契約以上はあまり見かけません。(地域差があると思われるが)

【手付金】てつけきん・てづけきん
契約の申込時に証拠金として一定の金銭を差し入れ、自己都合の契約破棄をした場合にお互いに手付け金と同等の金額を負担して契約解除ができるシステム。
借主が契約解除する場合を「手付流し」といってお金が戻ってきません。
貸主が契約解除する場合は「手付倍返し」といって同額を上乗せして返金します。

【融資特約付き申込】
申し込みの際に事業開始に金融機関からの借り入れをする場合、融資の審査を待つ間契約の優先権を得るために手付金を差し入れ申し込みをするが、もし、融資が下りない場合、手付金は返還し、契約を白紙撤回にする特約。融資不実行以外の理由では契約の撤回は手付流しになります。

【スケルトン渡し・スケルトン返し】すけるとんわたし・すけるとんがえし
テナント・店舗物件の場合は内装の全くない状態で引き渡しをし、内装を解体撤去して返還受渡をするのが基本です。
もっともトラブルの少ない取引方法ですが、ゼロから内装を作るため予算がかかります。
また退去時も解体費用が掛かります。
スケルトン状態とは、床・壁・天井は下地まで、配管配線は立ち上げまで、看板は撤去、入り口はシャッターがある場合はすべて撤去、シャッターのない場合はコンパネで仮設壁を作ります。
物件によって天井だけは残しておくなど、貸主もしくは貸主の依頼した業者と協議して決めることも多いです

【居抜き物件】いぬきぶっけん
居抜き物件とは前事業者が内装・設備・什器・備品をそのまま譲渡して、新借主はそれを買い受けて事業をスタートすることとなります。
注意点はあくまでも内装・設備・什器・備品は前事業主との『動産売買契約』で賃貸契約は家主さんとの『建物賃貸借契約』と2本の契約を同時進行するということです。
また、動産売買の契約は必ず『動産目録』を出してもらってください。内覧時にあった冷蔵庫が実はリース物件で、引き渡し時にはリース会社が引き上げていたなんてこともあります。
リース物件が含まれる場合は、リース会社を調べて自分でリースアップ後の売却をリース会社とすることも可能です。リース会社にとっては引き上げ処分の経費が掛からないためほとんどの場合聞いてくれると思います。(ある程度金額も叩けます)
この場合の動産売買にかかる手数料は売主が負担することがほとんどです。宅建業外取引ですので普通に10%~20%の金額が仲介業者に転がり込みます。
つまり、300万円の譲渡金額で契約しても前事業主には250万円くらいしかわたりません。
また売り出しの時は仲介業者は全事業主に『手取り金額』を決めてもらいます。例えば手取りで200万円ほしいと希望すれば業者は自分の手数料と値引き幅を上乗せして300万円で売りだす感じです。
これは自分がもし撤退するときに役に立つ知識です。

【A工事・B工事・C工事】えーこうじ・びーこうじ・しーこうじ
スケルトンから内装工事をする場合、3パターンの工事に分類されます。
A工事とは貸主負担で貸主業者で行う工事。
B工事とは借主負担で貸主業者で行う工事。
C工事とは借主負担で借主業者が行う工事。
ほとんどの工事はC工事となりますが、新築物件で看板工事や消防機器の工事はすでに決まっている業者で一括して工事したい場合などB工事で行います。これは現場の混乱を防ぐためで、貸主から指定されます。
A工事は主に建物の構造をいじる工事で退去後も建物に付随して撤去しないものです。
例えば1・2階一括契約を2階だけ分割して賃貸してもらう条件が通った時など、新設の階段はA工事で行います。退去時もそのまま階段は残して退去します。

【1次側・2次側】いちじがわ・にじがわ
設備のうち供給設備のメーターより本管側を1次側と呼び供給者(敷地外)もしくは家主(敷地内)の所有権・管理責任となります。
メーターより末端はC工事で借主の所有権・管理責任において設置されます。
例えば、漏水があった場合など、メーターより向こう側であった場合は、借主には何の責任も及びませんし、むしろ被害者となります。
しかしメーターよりこっち側で漏水した場合は借主の責任で、階下への水漏れなども賠償責任が生じます。

【建て貸し方式】たてがしほうしき
建物賃貸借契約のうち更地から新築店舗を建てて借りるときに、建物建築費を「建設協力金」として地主に貸し付け、契約期間中の分割相殺にて返金する契約を建て貸しと呼びます。
これは他人の土地に建物を所有すると建物所有者が有利になるため、土地所有者の権利を担保するために、建築費を自分の建物ではなく土地所有者の名義で保存登記するために考えられた方式です。主にロードサイドの物件でよくある手法です。

【事業用定期借地権】じぎょうようていきしゃくちけん
平成に条文改正され、期間を優先し、権利関係を重視しない契約が生まれました。その中で新たにできたのが事業用定期借地権という契約形態です。
事業用に土地を借りる場合、10年~20年の期間を先に決め、土地を貸せる契約です。
この契約では建物を保護する法解釈より、期間の定めを優先した法解釈をするため、土地所有者の権利を侵害しない契約になります。

【定期借家契約】ていきしゃっかけいやく
事業用借地権と同じく建物がすでにある場合の建物賃貸借契約を期間優先で契約する形態です。
一般の借家契約より期間の定めが優先し、公正証書で契約するなど特段の条件を満たす必要があります。
この契約の場合、権利関係より、定めた期間を優先し、原則契約の更新はありません。
協議の上再契約することはあります。

【一物四価】いちぶつよんか
土地の価格には4種類の価値があり、それぞれ別の価格があるということ。
普通に考えると売買価格しか思いつかないと思いますがそれ以外に、不動産鑑定評価額、固定資産評価額、路線価と一つの土地に4つの値段があるのです。
裁判の証拠となりうる価格は不動産鑑定評価額であり、これは『原価法』(原野から開発して宅地となるまでいくらかかるか、つまり再調達原価)、『収益還元法』(その土地を貸したらいくらになるか)、『取引事例比較法』(近隣の取引事例はいくらなのか)と国が定めた代表的な土地の公示地価格や各県の定めた基準地価格をもとに導き出されます。
また不動産は二つと同じものがないため、価格を比較する場合はその環境で、標準的な使用をされている土地を想像し、仮想の『標準画地』の価額を求めます。事例がある場合は標準画地との個別要因を補正し、目的地も標準画地との個別要因を補正します。道路の付き方とか高低差とか様々な要因です。一般的に角地が高いというのはこの個別要因ですね。

 

【設計・施工・施工監理】せっけい・せこう・せこうかんり
設計は、これからする工事の「寸法」と「仕様」を決めることです。
施工は設計された指示に従い実際に工事を行うことです。
施工監理は毎日の工事が仕様通り、計画通りに行われているか監督することです。