店舗物件の設備の知識

スケルトンから店を作るにしろ、居抜きで買い取るにしろ設備の状況が改装の大きなファクターとなります。

もっと言うと見てくれの内装はどうでもよいです。後から何とでもなるし下手したら自分でできます。

居抜きの場合、そのままの店舗レイアウトで使える物件が一番安くつきます。
逆に居抜き物件のレイアウトを変えるとなると、スケルトンから作る方が安くなることもあります。
これは、工事の工程に既設物(例えばカウンターや壁)を解体、撤去、処理(廃棄)費用が掛かるからです。
意外とお金がかかるんです、壊すのにも。。。

では店舗を作るまでに必要な工事の種類と注意点を書きます。

【排水工事】
実はこれが一番厄介です。電気、上水、ガスはメーターから使用箇所まで配管するのに、天井裏だろうが床下埋設だろうが露出だろうが自由に取りまわせます。
でも、下水だけは勾配が必要になります。
排水桝から離れれば離れるほど床高が必要になります。
トイレの位置をずらすだけで床全体を新設して高さを稼がないといけないケースも出てきます。
よって、スケルトンの場合は排水桝の位置、居抜きの場合はトイレの位置とグリストラップの位置をまず初めに確認します。

デザインを設計士に依頼する場合は、必ず店舗設計に詳しい、つまり設備の設計に詳しい設計士に依頼することがポイントです。
逆を言えばお客様の目に触れる部分、床壁天井の仕上げ、家具、照明などは下手したら素人でも設計デザインはできます。そのレベルしかできないのに無理して設備にも手を出してるデザイナーには要注意です。

【ガス工事】

次に、ガスの供給は早めに確認することが大切です。近年ではプロパンガスの規制も厳しくなっており、ボンベの設置ができない物件もあります。
都市ガスの場合も早めに容量の相談をした方が良いです。
俗に言われるラーメン店はプロパンが有利というのは、あんまり気にしなくてよいです。都市ガスの機器でも十分にスープは炊けますし、プロパン業者も最近は都市ガスに熱量単価を合わせてきますので、メリットは初期配管工事が無料になるくらいです。

【空調設備】

次に大切なのは空調です。空調といってもエアコンなどの冷暖房のことだけではありません。
空間全体の吸気と排気の風量計算が大切です。
大まかなガスの使用量が決まれば排気ダクトの能力も決まります。同時に吸気経路も確保しなければなりません。
これがビルインテナントの場合屋上まで排気を上げないといけないとか、木造でも密集地の物件だと屋根上まで上げないといけないとかそのあたりの制約を建物オーナーときちんと協議しないと見積もりはできません。

 

【電気工事】
電気工事の注意点はそれほどありません。しいて言うなら三相200Vが使えるかどうか。くらいです。
あと、キュービクル物件(建物に直接高圧で供給し、建物内で減圧し配線しているところ)はキュービクルの点検で年に一度かな、点検で停電します。

 

【内装工事】

内装は一番自由ですし、失敗はそうありません。気に入らなければ後からでもすぐにリニュアルできます。
ここのデザインはイメージの感性が近いデザイナーならだれに依頼してもよいでしょう。

【設計・施工・施工監理の違い】
設計は、これからする工事の「寸法」と「仕様」を決めることです。
施工は設計された指示に従い実際に工事を行うことです。
施工監理は毎日の工事が仕様通り、計画通りに行われているか監督することです。

この3つの仕事のうちあなたがデザイン事務所や設計事務所に依頼するのは「設計」と「施行監理」の二つです。

「施工」は設計がきちんとできていて、見積もり通りの工事ができるならどの業者がやっても同じものができます。つまり、相見積もりで安い業者に依頼する作業です。
毎日、現場で手抜きがないか、工期の遅れがないか施工監理がしっかりできていれば出来上がりは同じクオリティです。

ではなぜ、業者は「設計」と「施工」を同時に受けたがるのか?
それは『ぼったくりチャーンス』だからです。
相見積もりもなく、自分で設計して、施工して、監理も自分なら、手抜きし放題です。
見積もりも言い値で通るんです。こんなおいしい話はありません。
世の中の手抜き工事はここで生まれます。

必ず、設計料と施工管理費を支払って、「施工」を分離してください。
相見積もりにはほかのルートで依頼できる業者を必ず1社以上入れてください。

また、デザイン事務所に設計と施工管理の相談に行くと、基本契約の前に、あなたは必ず接待を受けます。
「ちょっと打ち合わせをしたいのですが」と呼び出され、キレイな女性のいるお店に連れていかれます。ひょっとすると奥様やお子さんに言えないような店まで行くかもしれません。
基本契約の前に詳しい打ち合わせはいりません。不動産屋の物件概要書を渡せばできます。
ハニートラップにはご用心。